●ロワ・ボルドレーズ2015年07月30日
ロワ・ボルドレーズ Rois bordelaise
1月6日の公現節(エピファニー)を祝って、フランス全土で食べられるガレット・デ・ロワ。フランスの中央から北では折りパイ生地にアーモンド・クリームをつめて焼いたもの、南ではブリオッシュ生地をリング形に焼いたものが伝統である。ロワ・ボルドレーズは後者を指し、「(ガレット・デ・)ロワ・プロヴァンサル」(プロヴァンスのガレット・デ・ロワ)、「ガトー・デ・ロワ」などとも呼ばれている。18世紀に編纂された南西部ベアルン地方の事典には、このブリオッシュ版ガレットの前身とみられる「ガルフー(Garfou)」というお菓子が存在し、これは発酵生地にラムとアニスの香りをつけたものと記録されている。後にこれがボルドーにおいて柑橘類の砂糖漬けやコニャックが加えられたリング形となり、「ボルドレーズ(ボルドーの)」の呼び名に結びついた。
○用語・人名解説
ブリオッシュ Brioche
「(パンがないなら)お菓子を食べればいいじゃないの(Qu’ils mangent de la brioche.)」とはあまりに有名なマリー・アントワネットの言葉。この「お菓子」は上記の通り「ブリオッシュ」と発言された。そのリッチな配合から、バターの名産地ノルマンディが発祥であるとする説(語源とされるbrierは同地方の方言)が有力だが、他説もあり、その時期も1400~1600年代と確かではない。教会で日曜のミサの後に施される祝別のパンが、当初の質素なものから、18世紀頃よりブルジョワの慈善によるぜいたくなブリオッシュへ変わっていったという世情を映した歴史もあるが、いずれにせよフランス伝統菓子に欠かせない生地。ブリオッシュ・サン・ジュニ、ブリオッシュ・ヴァンデエンヌなど、全土に名物ブリオッシュが見られる。