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活動報告- Activity Report -

パリ・ガレット・デ・ロワコンクール参加2014年01月 Vol.1

パリのパン菓子組合が主催する第26回「ラ・メイユール・ガレット・オ・ザマンド」が1月2日パリの職業学校EPMTTHで開かれ、日本から、2012年ガレット・デ・ロワコンクールの優勝者、伊藤 文明さん(メゾン・ドゥース)が特別参加しました。
応募者はパリ近圏イル・ド・フランス地方のブーランジェやパティシエ総勢325人。経営者、従業員、見習いの3部門に分けて審査が行われ、伊藤さんは経営者部門で10位に入賞しました。伊藤さんがコンクールに提出したガレットはパリのサンルイ島にあるパン菓子組合の厨房をお借りして焼き上げました。

下記が同行スタッフのレポートになります。

今回コンクールに出場する伊藤さん、理事の永井シェフ、事務局の鈴木の3名は、2014年1月1日6:30パリ、シャルルドゴール空港着後、ホテルに荷物を預け、そのままサンルイ島にあるパン菓子組合に直行しました。
パリ在住のクラブ理事・食ジャーナリストの松浦さんと現地で待ち合わせをし、伊藤さんは、早速冷凍で持ち込んだガレット・デ・ロワのチェック。壊れていないと一安心な様子。この梱包方法はクラブのコンテスト歴代の優勝者に受け継がれています。とても慎重に梱包してあるので、中身を出すまでに時間がかかり、伊藤さんの意気込みが伝わってきます。

明日がコンクール本番なので、本日は試し焼きです。オーブンの余熱の待ち時間で最後の仕上げをする伊藤さん。数日オーブンを使用していなかったようで、余熱に時間がかかりましたが、ようやく窯に入れて、近所で買ってきたパンを遅い朝食代わりに食べました。元旦は、ほとんどのお店がお休みですが、パン屋さんは空いているところがパリらしいというのでしょうか。パン屋さんには、ノエルの時のケーキ等も並んでおり、日本との違いに驚きました。肝心な焼き上がりは、多少焼き色が濃すぎたので、明日の本番では、焼く時の温度と時間を調整しよう!と反省をし、明日の準備をして、解散。

さて、翌日の2日は朝から本番用のガレットを焼くので、やや緊張の面持ちの伊藤さんとパン菓子組合へ。今年はパリコンクール対策として、表面の模様をシンメトリーな模様にし、バターもフランス産を使用、アーモンドクリームとフィユタージュのバランスを見直して挑みます。伊藤さんは、昨年8月に独立をし、このコンクールのためにお店を休んでの挑戦です。予定外に余熱にも時間がかかり、昨日の反省をいかして焼いたガレットは、かなり色濃く仕上がり、慣れない窯を使用する難しさを実感しました。がっかりしている暇もなく、パリのホテル学校EPMTTHに向かいました。

会場に着くと、沢山のガレットを持ってきている人達が受付をし、賑わっている様子。組合に入っていて登録してあれば、参加可能ということです。応募数が多いのは、こういうことが理由なのでしょう。そして、さすがフランスというお国柄か、当日の申し込みの方の列にしか並んでいません。広い会場に次々と並べられていくガレット。テーブル別に部門が分かれています。私達は、日本からの参加ということで特別に中に入れてもらい、見せてもらえることができました。高さが5㎝くらいあるようなガレット等、日本のコンクールと比べるとかなり個性的です。そして、全体的に焼き色は薄めだと感じました。表彰式は翌日3日の夜なので、ひとまずホッとした表情の伊藤さん。無事に提出でき、同行した永井シェフ、松浦さんも安堵の表情を浮かべていました。(当のご本人は、結果がでるまで気が気ではなかったようですが。)

翌3日は、20時から表彰式。理事の大森由紀子さんも会場に駆けつけ、皆で結果発表待ちです。会長のジャック・マビーユ氏の挨拶から始まり、アプランティ部門(見習い)から結果を発表。従業員部門、オーナー部門と続きます。始まってからずっと、会場にきている人達は口々に話をしていて、ガヤガヤしています。結果発表を待つ両親が連れてきていた小さな子供達も飽きてしまって、絨毯の上でゴロゴロ転がったりしています。とてもアットホームな雰囲気の中での発表に驚きました。

いよいよオーナー部門の発表になり、すぐに伊藤さんの紹介があったので・・皆一瞬、20位以内にも入っていないのか?と不安になりましたが、日本から参加をした伊藤さんの紹介で、一同ホッと一息。そして、見事10位に入賞しました。思った以上に焼き色が濃かったので、心配していましたが、スクリーンで映し出された伊藤さんの作品を見て、歓声が上がっていました。それだけ、見事なガレットだったのでしょう。優勝は、パリ17区にお店を構えているジョスラン・ロエジック氏でした。10年以上前からこのコンクールに挑戦し続けてきたそうです。そのロエジック氏、優勝が決定した時の喜びの表情とご家族の感極まった姿を見て、「来年こそは!」と奮起する挑戦者も沢山いることでしょう。

理事の松浦さんによれば、ロエジック氏は伊藤さんの作品を見て、こんなに美しいガレットは今まで見たことがない!と絶賛していたそうです。決して、贔屓目に見なくても、素晴らしい作品でした。伊藤さん、本当にお疲れ様でした。

今年のパリのコンクールを終えて、今後の挑戦者の課題は、一桁台への入賞です。教訓を生かして、来年のコンクールの対策を考えていく必要があると感じております。