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活動報告- Activity Report -

2008伝統菓子講習会開催2008年09月 Vol.3

クラブ恒例行事となりました伝統菓子講習会が、今夏は8月5日(火)に大阪で、9月3日(水)に東京で行われました。大阪では約90名、東京においては120名を超える参加者を迎えて、4時間で9~10品が紹介される盛りだくさんの内容でしたが、各講師による作り方のコツや思い出のストーリーに、会場では熱心にメモをとる姿が目立ちました。特にコンクールの締め切りが近くなったガレット・デ・ロワに関しては、講師の手元により熱心な視線が集まっていました。
以下、各会の講師と製作したお菓子、各人のコメントです(敬称略)。

大阪:  
永井 紀之  ガレット・デ・ロワ、 スフレ・グラッセ・オ・グランマニエ
島田 進 バスク・オ・マロン
藤生 義治 アルカザール キャラメル・マンディアン
西野 之朗 クレープ・フリゼ ミーア・ブルボネ
渡辺 雄二 クロワッサン・ダマンド クロワッサン・オ・フィグ
解説:大森 由紀子 

東京:  
林 雅彦  ガレット・デ・ロワ ピュイダムール
西原 金蔵  フィナンシェ/マドレーヌ スフレ・グラッセア・ラナナス
寺井 則彦  トルシュ・オー・マロン
フレデリック・マドレーヌ  ケーク・オ・フリュイ
堀江 新 フォンダンショコラ
安食 雄二 ギモーヴ・ア・ラ・ヴァニーユ ギモーヴ・ローズ・フランボワーズ 解説:大森 由紀子 

各シェフのひとこと:

● パティシエ・シマ 島田 進(バスク・オ・マロン) 昨今バスク地方が注目され、人気が高まりつつあるので、この機会に同地方のお菓子を紹介したいと思った。今回はマロンを入れてみたが、伝統菓子の基本を外さない範囲で、どこまでアレンジ可能かを提案するという目的もあった。
● パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ 藤生 義治(アルカザール) パリ修行時代を過ごしたジャン・ミエのシェフ、アルマーニ氏の作品。スペイン人の彼が故郷アリカンテに伝わるものをアレンジ、名産のアーモンドがふんだんに使われている。25年近くも彼の味の再現に苦戦していたのだが、ある時、手違いで高温のオーブンに入れてしまったところ、奇しくも 理想の仕上がりに。
● パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ 藤生 義治(キャラメル・マンディアン) 塩キャラメルは日本で大きなヒット商品になった。その多くは柔らかく口の中ですぐにとけるようなタイプだが、今回は流行に反し、昔ながらのしっかりとしたスタイルに仕上げた。ナッツを組み合わせて、味わいの楽しさと食感の変化を出している。
● メゾン・ド・プティ・フール 西野 之朗(ミーア・ブルボネ) フランス菓子の中でも最も古い歴史を持つお粥状のお菓子のひとつ。基本的にはクラフティと同じなのだが、ブルボネ地方(フランス中央高地)では、あくまでこれをミーアと呼んでいる。こんなことからもフランス地方が持つ、歴史や風習に対する誇り高さを知ってもらえたらと思う。
● メゾン・ド・プティ・フール 西野 之朗(クレープ・フリゼ) 揚げ菓子のバリエーションを紹介したかった。ビューニュはよく知られるようになったが、これはクレープ生地を揚げるということ、そして形もおもしろいと思う。 ● ノリエット 永井 紀之(ガレット・デ・ロワ) 行事菓子としてフランス人が当たり前に食べているガレット、シンプルに「おいしい」ことを目指して、ごく普通に作っている。そのエスプリが伝わればと思う。
● ノリエット 永井 紀之(スフレ・グラッセ・オ・グランマニエ) フランスならお菓子屋はもちろん、ブラッスリーにもレストランにもあるデザート。日本でももっと広まってほしい。
● ドゥブルペ・ボレロ 渡辺 雄二(クロワッサン・ダマンド/クロワッサン・オ・フィグ) クロワッサンはとてもポピュラーなアイテム。加えてクロワッサン生地+アーモンド・クリームはゆるぎない黄金の組み合わせだが、こんなアレンジもあるという提案をしたかった。

● ガトー・ド・ボワ 林 雅彦(ガレット・デ・ロワ) ガレットのおいしさに関しては今さら解説するまでもないが、味わいを決めるポイントは、粉&バターの香りとアーモンドの香りとの絡み合いだと思う。そこを目指して作っているので、何か挑戦のヒントになれば。
● ガトー・ド・ボワ 林 雅彦(ピュイ・ダムール) 本来はクレーム・パティシエールだけだが、生クリームでコクを、ドライのフランボワーズで酸味をプラス。伝統の味を損なわず新鮮なイメージを加えてみた。
● グルニエ・ドール 西原 金蔵(フィナンシェ/マドレーヌ) どちらも焼き菓子としては基本中の基本。それだけにいろいろな解釈があると思うが、マドレーヌは突出した個性を出さずクセのない味を、対してフィナンシェはモチッとした食感で印象を残すという、私のバージョンを紹介した。
● グルニエ・ドール 西原 金蔵(スフレ・グラッセ・ア・ラナナス) アラン・シャペルにいた頃、地元以外の素材は滅多に使わない彼が好んで用いたパイナップル。キューブ状のパイナップルに砂糖をなじませ、キルシュを振ったサラダが名品だったが、この残りを使って考案されたデザート。
● エーグル・ドゥース 寺井 則彦(トルシュ・オー・マロン) 素材を足したり掛けたりでおいしさを出していくフランス菓子の中で、めずらしく引き算的な考え方で成り立つお菓子。敢えて香りなどを補わず、淡い栗の味を最大限に引き出している。ジャックのバンヴァルト氏にも作るよう勧められていたが、ようやく自分の店で手がけられるようになった。
● ル・ポミエ フレデリック・マドレーヌ(ケーク・オ・フリュイ) 焼き菓子は今やフランスより日本の方が多彩で、品質も高いと思う。フランスでは普段のお茶菓子として食べられており、素朴な印象もあるが、今回はアルコールの香りを強調し、フルーツも種類によってマリネの時間を加減するなど、ワンランク上の洗練されたものを紹介した。
● ラ・ヴィ・ドゥース 堀江 新(フォンダン・ショコラ) 自分が修行していた頃、フランスではどんなビストロやレストランにもアングレーズ・ソース添えで出されていた覚えがある。本来はワン・ボールで作るような気取りのないお菓子だが、チョコレートの扱いに科学的な基礎を踏まえ、パティシエとしての作品を紹介したかった。
● 安食 雄二(ギモーヴ・ア・ラ・ヴァニーユ/ギモーヴ・ローズ・フランボワーズ) 以前グルノーブルで研修していたとき、町のお菓子屋のウィンドーに長くグルグルと巻かれていたギモーヴが印象的だった。形をもっと洗練させて作ることもできるが、敢えて昔風のたたずまいを残した方が味わいが伝わるような気がする。

各回の協賛会員は下記の通りです。ご協力ありがとうございました。

【大阪】 幹事:㈱イワセ・エスタ 協賛(50音順): ㈱愛工舎製作所、奥本製粉㈱、タカナシ販売㈱、㈱ナリヅカコーポレーション、日仏商事㈱、 ㈱前田商店、明治乳業㈱、森永乳業㈱、ルーツ貿易㈱ 会場提供: ㈱イワセ・エスタ

【東京】 幹事:㈱イワセ・エスタ 協賛(50音順):  ㈱愛工舎製作所、㈱クオカ・プランニング、サンエイト貿易㈱、 ジャパン・フード&リカー・アライアンス食品㈱ アルカン事業部、タカナシ販売㈱、 ㈱ナリヅカコーポレーション、日仏商事㈱、㈱前田商店、明治乳業㈱、森永乳業㈱、 会場提供: ㈱ドーバー洋酒貿易